遺伝子

もう、父親が他界して10年以上経ちます。

背は小さめでしたが、ガッチリした体型だった父親が、会う度にみるみるやせ細っていく姿は、今でも明確に記憶に残っています。

1年半程の闘病で、最後は骨と皮1枚って感じでした。


その日、丁度仕事が休みで、新幹線に乗り、父が入院していた病院まで。

疲れていたのか、ずっと目を閉じ、昼寝でもしてんのかなと。

身体はガリガリなのに、不思議とふくらはぎがむくんでいたので、軽くマッサージでもしてあげようと、尋ねると、僅かに首を横に振りました。

しばらくして、翌日仕事の為、再び新幹線に。


東京へ戻る途中の新幹線の中で、母から着信。

その時は気がつかず、しばらくして留守電をきくと、父が先程亡くなったとのメッセージが。


そのまま、トンボ帰りで再び病院へ。

が、既に父親の姿はなく、葬儀場へ運ばれていました。

翌日、葬儀を済ませ、火葬場へ。

骨だけになった父親の、灰の一部を、誰にも気付かれぬよう、自分の指に付け、帰りの送迎バスの中で、飲み込みました。


深い意味は、ありません。

ただ、その場の直感、感覚で、
父親の一部を、自分の中に入れたかったのです。


自分の中には、まぎれもなく、父親のDNAが受け継がれています。

決して、格好いいタイプではありませんでした。

真面目で、不器用で、短気で、

でも、優しい父親だったと思います。


生きている時は、距離感がありましたが、
亡くなってからの方が、身近に感じるのは、不思議です。


散り際が決まってる訳じゃなく、人間、いつ散っていくのか、分かりません。


だからこそ、一日一日を、普通に、丁寧に、
生きていこうと思うのです。